彩桐の日記兼・SSリハビリ・鍛錬場です。
戦国・BASARA家・十勇士・女体化・幼少期入り乱れになると思いますので、ご注意下さいませ。
感想・コメント等御座いましたら、お気軽にどうぞv
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奥州筆頭、伊達政宗が女であるという事を知る者は少ない。
甲斐の虎若子、真田幸村はそんな政宗の正体を知る、数少ない人間の一人であった。
そしてそんな二人が想いを通わせている者同士であるという事を知っている人間は更に数少ない。
政宗の親友であり、良き兄貴分である四国の鬼、長曾我部元親と
幸村の部下でありながら姉、というよりは母の様な存在の猿飛佐助くらいである。
そんな実は女である伊達政宗は落ち込んでいた。
というのも…
「半年、幸村に会ってない…。」
からであった。
奥州筆頭である彼女は戦がなくても多忙を極める身である。
奥州と甲斐、遠く離れた地に身を置く二人が想いを通わせる事が出来ているのは、
一重に政宗より自由度が高い幸村の行動力の賜物と言っても過言ではなかった。
それ故、幸村が来ない以上、二人が会う事は不可能に近い。
「やっぱり俺、幸村に甘えてたんだなぁ…。情けねぇー…。」
書簡へ走らせていた筆を止め、政宗は深いため息を付き天井を仰いだ…
「あらやだ姫さん、なぁに?旦那に会えないのがそんなに寂しい?」
眼前に広がる笑顔。
ひどく中性的な顔だが、よく見ればそれが女である事は容易に知れた。
その女は政宗が仰いだ天井からぶら下がる様にして現れ、
音もなく政宗の横に降り立った。
「んなっ!?さ、佐助!?」
「お久しぶり~!あ、始めはちゃんと門から入ったよ!
驚かせようと思ってね~。」
あはは、と明るく笑う女忍・猿飛佐助に対し、
政宗は脱力しきったのち、はた、と気付いた。
「お前、何しに来たんだ?」
「ん~?これを姫さんに渡しにね~。
旦那いま忙しくってねー。代わりに俺様がってね。」
「そう…忙しいのか。」
政宗より身分は低いと言えど、幸村も武将である。
しかも甲斐の虎から全幅の信頼を寄せられている。
何かと忙しいのは想像に難くない。
それでも落胆する気持ちは隠しきれなかった。
「んもぅ!そんな暗い顔してたら折角の可愛い顔が台なし!
笑って笑って!!」
落胆に表情を曇らせる政宗の顔を優しく包む様に
佐助は両手を添え、ニッコリと笑う。
それから、自信の傍に置かれた風呂敷包みを政宗の前に差し出した。
「コレ、旦那から姫さんに。
あの人あぁ見えて結構、見る目あるんだよねぇ。
気に入って貰えるといいんだけど…って姫さんなら持ってるかも知れないねぇ。」
後半は一人ごちる調子だったが、政宗は気にせず「幸村からの贈り物」に手を伸ばす。
心なしか緊張しているのが分かる。
それでもゆっくりと包みを解いていく。
「これは…」
中から出てきたのは小袖だった。
地の色は藤。しかし全体にグラデーションが掛かっており、
肩口から裾に掛けて薄紅、藤、青藤と変化している。
そして、左肩から流れるように藤の花が咲き乱れ、
裾には桜の花がちりばめられていた。
さながら春を体言した見事なものである。
「これを、アイツが…?」
「ちょっと意外でしょ?俺も始めはビックリしたもん。」
呆気に取られている政宗に佐助は苦笑を漏らす。
「ね、着てみてくれません?」
「い、今?」
「うん。駄目かな?
似合うかどうか確かめて来いとも言われてるんだよね~。」
暫く小袖を見つめていた政宗だったが、
意を決した様に佐助を見据え、
「着替えてくる。少し待ってろ。」
そう言い残し、部屋を後にした。
「さて、その間に…と。」
佐助もまた部屋から姿を消し、
数分何事もなかった様に部屋の下座に鎮座した。
「姫さん?」
先程政宗が出ていった襖の外から気配を感じた佐助はそちらに笑顔を向ける。
返事の代わりに静かに襖が開き、奥から先の小袖を纏った政宗が出て来た。
色の白い政宗に衿回りの薄紅は綺麗に映え、
普段から青を好んで身につけているため、裾の青藤も違和感がない。
そして、髪も左側を編み上げにし、藤の簪を挿している。
「良かったぁ~、すっごく似合ってるよぉ!!」
「そ、そうか…?」
「ね、旦那?」
「は?」
「あぁ、やはり我が目に狂いはなかったようだ。」
政宗が入ってきた襖とは反対の襖が静かに開く。
そしてそこに現れたのは逢いたくて逢いたくて仕方なかった男。
甲斐の虎若子、紅蓮の二槍使い・真田幸村。
「な、お、お前、なんで…?」
忙しいのではなかったのか?
だから佐助が来たのではなかったのか?
混乱する頭を無理矢理押さえ込み、それだけを何とか口にする。
「政宗殿ほどでは御座いませぬよ。」
幸村は人当たりの良い柔らかい笑顔で応える。
改めて幸村の声を聞き、気が抜けたのか、政宗はその場にへたり込んでしまった。
「姫さん!?」
「政宗殿!!」
すかさず幸村が政宗を支えに走る。
それを見届け、佐助は苦笑を一つだけ漏らし、音も無く消えた。
「馬鹿…幸村の馬鹿!!阿呆!!」
「政宗殿…?」
背を支える様に回されていた幸村の左手を右手で掴み、
空いた左手で幸村の右胸を何度も殴る。
幸村は特に抵抗せず、政宗のやりたいようにやらせていた。
暫くすると気が済んだのか、左手の動きは止まり、
怖ず怖ずと幸村の胸元を握り締めた。
その様子に安堵した幸村は優しく、だが強く政宗を抱きしめる。
「申し訳ありませんでした。
本当はもう少し早く、と思っておったのですが、
先にありました戦で少々怪我をしてしまい…」
「え…?」
数ヶ月前まで武田は今川平定を目指し、今川と戦をしていた。
その時、今川は得意とする影武者戦を仕掛けてきた。
その影武者の数にブチ切れた幸村は佐助から
禁止令が出されている筈の大噴火を装備し出陣した。
佐助が禁止するのにはそれなりの理由がある。
大噴火は攻撃力が大幅に上がる分、
自分が喰らうダメージも大幅に上がる両刃の剣のアイテムである。
そして幸村の基本思考は「攻撃は最大の防御」である。
つまり防御らしい防御をしない。
それで大噴火を装備すればどうなるか…容易に想像できるだろう。
案の定、幸村はボロボロになって帰って来た。
全身傷だらけだったのだが、中でも治癒に時間が掛かったのが右肩の骨折だった。
「政宗殿に逢いに行く」 と言っては部屋から抜け出そうとする幸村を
十勇士の連携プレーで抑えていたのだと後に佐助が遠い目をしながら教えてくれた。
「…とまぁ、この様な理由で中々来る事ができませんでした。
全ては某が未熟故の事。赦せとは言いませぬ。」
「何故、文一つ寄越さなかった。」
「右肩をやられておりました故。
代筆も考えましたが、その様な真似をすれば勘の良い政宗殿の事、
気付かれいらぬ心配をさせては、と思い…」
確かにその通りだった。
「報せがないのは無事の証拠」
もし下手に代筆を立てた文など寄越されていたら、
自分の立場を忘れ、何もかもを放り出し甲斐に行っていたかも知れない。
そんな事を全て見越しての幸村なりの気遣いだった。
「Sorry...そう、だよな。お前は間違っちゃいねぇよ。」
「政宗殿…?」
「逢いたかった…」
「はい。逢いとう御座いました。」
部屋の中の影がゆっくりと一つに溶け合うのを
部屋を監視出来る巨木の上から見届けた佐助は大きなため息一つ付いて
「さっさと祝言あげればいいのに。」
と呟き、黒翼一枚残し消え去った。
※※※※※※※※※※※※
幸村がセンス良かったらいいなって話。
暑苦しいのは戦場とお館様の前だけだと思う。
そして私はニョダテを何処まで乙女にしたいのか。
幸村が藤の柄の小袖を贈ったのにはちゃんと理由がありますが、
まぁその辺は読んだ方の感性にお任せ致します(逃げた)
彩桐忍
甲斐の虎若子、真田幸村はそんな政宗の正体を知る、数少ない人間の一人であった。
そしてそんな二人が想いを通わせている者同士であるという事を知っている人間は更に数少ない。
政宗の親友であり、良き兄貴分である四国の鬼、長曾我部元親と
幸村の部下でありながら姉、というよりは母の様な存在の猿飛佐助くらいである。
そんな実は女である伊達政宗は落ち込んでいた。
というのも…
「半年、幸村に会ってない…。」
からであった。
奥州筆頭である彼女は戦がなくても多忙を極める身である。
奥州と甲斐、遠く離れた地に身を置く二人が想いを通わせる事が出来ているのは、
一重に政宗より自由度が高い幸村の行動力の賜物と言っても過言ではなかった。
それ故、幸村が来ない以上、二人が会う事は不可能に近い。
「やっぱり俺、幸村に甘えてたんだなぁ…。情けねぇー…。」
書簡へ走らせていた筆を止め、政宗は深いため息を付き天井を仰いだ…
「あらやだ姫さん、なぁに?旦那に会えないのがそんなに寂しい?」
眼前に広がる笑顔。
ひどく中性的な顔だが、よく見ればそれが女である事は容易に知れた。
その女は政宗が仰いだ天井からぶら下がる様にして現れ、
音もなく政宗の横に降り立った。
「んなっ!?さ、佐助!?」
「お久しぶり~!あ、始めはちゃんと門から入ったよ!
驚かせようと思ってね~。」
あはは、と明るく笑う女忍・猿飛佐助に対し、
政宗は脱力しきったのち、はた、と気付いた。
「お前、何しに来たんだ?」
「ん~?これを姫さんに渡しにね~。
旦那いま忙しくってねー。代わりに俺様がってね。」
「そう…忙しいのか。」
政宗より身分は低いと言えど、幸村も武将である。
しかも甲斐の虎から全幅の信頼を寄せられている。
何かと忙しいのは想像に難くない。
それでも落胆する気持ちは隠しきれなかった。
「んもぅ!そんな暗い顔してたら折角の可愛い顔が台なし!
笑って笑って!!」
落胆に表情を曇らせる政宗の顔を優しく包む様に
佐助は両手を添え、ニッコリと笑う。
それから、自信の傍に置かれた風呂敷包みを政宗の前に差し出した。
「コレ、旦那から姫さんに。
あの人あぁ見えて結構、見る目あるんだよねぇ。
気に入って貰えるといいんだけど…って姫さんなら持ってるかも知れないねぇ。」
後半は一人ごちる調子だったが、政宗は気にせず「幸村からの贈り物」に手を伸ばす。
心なしか緊張しているのが分かる。
それでもゆっくりと包みを解いていく。
「これは…」
中から出てきたのは小袖だった。
地の色は藤。しかし全体にグラデーションが掛かっており、
肩口から裾に掛けて薄紅、藤、青藤と変化している。
そして、左肩から流れるように藤の花が咲き乱れ、
裾には桜の花がちりばめられていた。
さながら春を体言した見事なものである。
「これを、アイツが…?」
「ちょっと意外でしょ?俺も始めはビックリしたもん。」
呆気に取られている政宗に佐助は苦笑を漏らす。
「ね、着てみてくれません?」
「い、今?」
「うん。駄目かな?
似合うかどうか確かめて来いとも言われてるんだよね~。」
暫く小袖を見つめていた政宗だったが、
意を決した様に佐助を見据え、
「着替えてくる。少し待ってろ。」
そう言い残し、部屋を後にした。
「さて、その間に…と。」
佐助もまた部屋から姿を消し、
数分何事もなかった様に部屋の下座に鎮座した。
「姫さん?」
先程政宗が出ていった襖の外から気配を感じた佐助はそちらに笑顔を向ける。
返事の代わりに静かに襖が開き、奥から先の小袖を纏った政宗が出て来た。
色の白い政宗に衿回りの薄紅は綺麗に映え、
普段から青を好んで身につけているため、裾の青藤も違和感がない。
そして、髪も左側を編み上げにし、藤の簪を挿している。
「良かったぁ~、すっごく似合ってるよぉ!!」
「そ、そうか…?」
「ね、旦那?」
「は?」
「あぁ、やはり我が目に狂いはなかったようだ。」
政宗が入ってきた襖とは反対の襖が静かに開く。
そしてそこに現れたのは逢いたくて逢いたくて仕方なかった男。
甲斐の虎若子、紅蓮の二槍使い・真田幸村。
「な、お、お前、なんで…?」
忙しいのではなかったのか?
だから佐助が来たのではなかったのか?
混乱する頭を無理矢理押さえ込み、それだけを何とか口にする。
「政宗殿ほどでは御座いませぬよ。」
幸村は人当たりの良い柔らかい笑顔で応える。
改めて幸村の声を聞き、気が抜けたのか、政宗はその場にへたり込んでしまった。
「姫さん!?」
「政宗殿!!」
すかさず幸村が政宗を支えに走る。
それを見届け、佐助は苦笑を一つだけ漏らし、音も無く消えた。
「馬鹿…幸村の馬鹿!!阿呆!!」
「政宗殿…?」
背を支える様に回されていた幸村の左手を右手で掴み、
空いた左手で幸村の右胸を何度も殴る。
幸村は特に抵抗せず、政宗のやりたいようにやらせていた。
暫くすると気が済んだのか、左手の動きは止まり、
怖ず怖ずと幸村の胸元を握り締めた。
その様子に安堵した幸村は優しく、だが強く政宗を抱きしめる。
「申し訳ありませんでした。
本当はもう少し早く、と思っておったのですが、
先にありました戦で少々怪我をしてしまい…」
「え…?」
数ヶ月前まで武田は今川平定を目指し、今川と戦をしていた。
その時、今川は得意とする影武者戦を仕掛けてきた。
その影武者の数にブチ切れた幸村は佐助から
禁止令が出されている筈の大噴火を装備し出陣した。
佐助が禁止するのにはそれなりの理由がある。
大噴火は攻撃力が大幅に上がる分、
自分が喰らうダメージも大幅に上がる両刃の剣のアイテムである。
そして幸村の基本思考は「攻撃は最大の防御」である。
つまり防御らしい防御をしない。
それで大噴火を装備すればどうなるか…容易に想像できるだろう。
案の定、幸村はボロボロになって帰って来た。
全身傷だらけだったのだが、中でも治癒に時間が掛かったのが右肩の骨折だった。
「政宗殿に逢いに行く」 と言っては部屋から抜け出そうとする幸村を
十勇士の連携プレーで抑えていたのだと後に佐助が遠い目をしながら教えてくれた。
「…とまぁ、この様な理由で中々来る事ができませんでした。
全ては某が未熟故の事。赦せとは言いませぬ。」
「何故、文一つ寄越さなかった。」
「右肩をやられておりました故。
代筆も考えましたが、その様な真似をすれば勘の良い政宗殿の事、
気付かれいらぬ心配をさせては、と思い…」
確かにその通りだった。
「報せがないのは無事の証拠」
もし下手に代筆を立てた文など寄越されていたら、
自分の立場を忘れ、何もかもを放り出し甲斐に行っていたかも知れない。
そんな事を全て見越しての幸村なりの気遣いだった。
「Sorry...そう、だよな。お前は間違っちゃいねぇよ。」
「政宗殿…?」
「逢いたかった…」
「はい。逢いとう御座いました。」
部屋の中の影がゆっくりと一つに溶け合うのを
部屋を監視出来る巨木の上から見届けた佐助は大きなため息一つ付いて
「さっさと祝言あげればいいのに。」
と呟き、黒翼一枚残し消え去った。
※※※※※※※※※※※※
幸村がセンス良かったらいいなって話。
暑苦しいのは戦場とお館様の前だけだと思う。
そして私はニョダテを何処まで乙女にしたいのか。
幸村が藤の柄の小袖を贈ったのにはちゃんと理由がありますが、
まぁその辺は読んだ方の感性にお任せ致します(逃げた)
彩桐忍
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