彩桐の日記兼・SSリハビリ・鍛錬場です。
戦国・BASARA家・十勇士・女体化・幼少期入り乱れになると思いますので、ご注意下さいませ。
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虫の鳴き声だけが静かに響く、深夜の真田屋敷。
その屋敷の屋根に佇む影が一つ。
その影は何をするでもなく、ただ夜空を見上げていた。
しかし、夜風が『彼』の頬を掠めると、『彼』は微かに口の端を吊り上げた。
「どうだった?」
まるで風に問い掛ける如くの口ぶりで『彼』は問う。
その問いに応えたのは、風ではなく、新たに現れたもう一つの影。
「あぁ、若の見立て通りだな。
あいつ等、陰で企でてやがる。」
新たに現れた影が、始めからいた影に紙切れを渡す。
「やっぱりねー。最近、ウチ以外の忍がちょくちょく姿見せてるから、
何かあるとは思ってたケド…それにしても、」
「何だよ。」
「さっすが才蔵だよねー。たった一日でこれだけの情報集めて来るなんて。」
渡された紙切れをヒラヒラと振り、新たに現れた影―才蔵に笑顔を向ける。
「伊賀者にとってこの程度の情報探索は当然の事だ。」
「だねー。甲賀じゃ中々こうはいかない。」
「どんな流派においても何かしら長所短所はあるものだろう?
甲賀が集団戦術、体術に秀でるようにな。」
「あら珍しい。俺様の事、誉めてくれるのー?」
「別にお前を誉めるつもりはない。」
「つれないねぇ。」
始めからいた影はさして気にした風もなく、クスクス笑う。
「さて、と。じゃあ明日にでも旦那に報告しますかね。」
「佐助、」
音もなく立ち上がり、伸びをする影―佐助に
才蔵は静かに声を掛けた。
「んー?」
「甲賀は恩義に、伊賀は金に仕えるという。」
「う、ん?」
突然何を、と出かけた言葉を飲み込み、佐助は続きを待つ。
才蔵の纏う雰囲気が平素より柔らかかったのだ。
「もし他の大名が大金積んで俺を雇おうとし、
更に俺がそれに乗ったらお前どうする。」
「才蔵を殺し、その大名も始末する。」
「躊躇いがないな。」
「当然。」
才蔵の『問い』に真剣な表情で答えていた佐助だが、
その後すぐにその表情は崩れる。
「でもそれって考えるだけ無駄でしょ?
『金で動く伊賀者は三流、真の伊賀者は善くも悪くも己の欲するままに動く。』
才蔵は一流の伊賀者。旦那に未来を、『還る場所』を見出だした。
そんな忍が今更金如きで動くなんて…ねぇ?」
「誉めてんのか貶なしてんのか、どっちだ。」
「ヤだなぁ、『信頼』してるんだよ。
真田忍隊副長・霧隠才蔵。」
「まぁ、そういう事にしといてやるよ。
真田忍隊長・猿飛佐助。」
そう言って二つの影はクスクス笑い、
数瞬後には音もなく掻き消えていた。
残ったのは、さわさわと過ぎる心地良い夜風だけ。
※※※※※※※※※※※※※※※
ウチの佐助と才蔵の関係。
割と仲良し。
二人が若くして忍隊の長クラスになれたのは、
技の冴えもさることながら、甲賀、伊賀の長所短所をきちんと認め、
各々に相応しい任務を指示出来るから。
もちろん、幸村がそれを認めているから出来る事。
つまりこの話は幸村の漢前自慢話。
あながち間違ってはないと思います。
彩桐忍
その屋敷の屋根に佇む影が一つ。
その影は何をするでもなく、ただ夜空を見上げていた。
しかし、夜風が『彼』の頬を掠めると、『彼』は微かに口の端を吊り上げた。
「どうだった?」
まるで風に問い掛ける如くの口ぶりで『彼』は問う。
その問いに応えたのは、風ではなく、新たに現れたもう一つの影。
「あぁ、若の見立て通りだな。
あいつ等、陰で企でてやがる。」
新たに現れた影が、始めからいた影に紙切れを渡す。
「やっぱりねー。最近、ウチ以外の忍がちょくちょく姿見せてるから、
何かあるとは思ってたケド…それにしても、」
「何だよ。」
「さっすが才蔵だよねー。たった一日でこれだけの情報集めて来るなんて。」
渡された紙切れをヒラヒラと振り、新たに現れた影―才蔵に笑顔を向ける。
「伊賀者にとってこの程度の情報探索は当然の事だ。」
「だねー。甲賀じゃ中々こうはいかない。」
「どんな流派においても何かしら長所短所はあるものだろう?
甲賀が集団戦術、体術に秀でるようにな。」
「あら珍しい。俺様の事、誉めてくれるのー?」
「別にお前を誉めるつもりはない。」
「つれないねぇ。」
始めからいた影はさして気にした風もなく、クスクス笑う。
「さて、と。じゃあ明日にでも旦那に報告しますかね。」
「佐助、」
音もなく立ち上がり、伸びをする影―佐助に
才蔵は静かに声を掛けた。
「んー?」
「甲賀は恩義に、伊賀は金に仕えるという。」
「う、ん?」
突然何を、と出かけた言葉を飲み込み、佐助は続きを待つ。
才蔵の纏う雰囲気が平素より柔らかかったのだ。
「もし他の大名が大金積んで俺を雇おうとし、
更に俺がそれに乗ったらお前どうする。」
「才蔵を殺し、その大名も始末する。」
「躊躇いがないな。」
「当然。」
才蔵の『問い』に真剣な表情で答えていた佐助だが、
その後すぐにその表情は崩れる。
「でもそれって考えるだけ無駄でしょ?
『金で動く伊賀者は三流、真の伊賀者は善くも悪くも己の欲するままに動く。』
才蔵は一流の伊賀者。旦那に未来を、『還る場所』を見出だした。
そんな忍が今更金如きで動くなんて…ねぇ?」
「誉めてんのか貶なしてんのか、どっちだ。」
「ヤだなぁ、『信頼』してるんだよ。
真田忍隊副長・霧隠才蔵。」
「まぁ、そういう事にしといてやるよ。
真田忍隊長・猿飛佐助。」
そう言って二つの影はクスクス笑い、
数瞬後には音もなく掻き消えていた。
残ったのは、さわさわと過ぎる心地良い夜風だけ。
※※※※※※※※※※※※※※※
ウチの佐助と才蔵の関係。
割と仲良し。
二人が若くして忍隊の長クラスになれたのは、
技の冴えもさることながら、甲賀、伊賀の長所短所をきちんと認め、
各々に相応しい任務を指示出来るから。
もちろん、幸村がそれを認めているから出来る事。
つまりこの話は幸村の漢前自慢話。
あながち間違ってはないと思います。
彩桐忍
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